トラベルワクチンTRAVEL‐VACCINE

トラベルワクチンTRAVEL‐VACCINE

トラベルワクチンとは

海外では、国内での発症が珍しい感染症も発生しており、日本とは留意すべき感染症が異なります。接種を受ける方の感染予防のみならず、周りの方への感染防止のために推奨されているものもあります。ワクチンの中には、トラベルワクチンといい、主に小児期の定期接種(Routine vaccine)・入国時や留学時に接種済みの証明書を要求されるもの(Required vaccine)・渡航先で流行している感染症への感染予防として推奨されるもの(Recommended vaccine)などがあります。

トラベルワクチンとは

主なトラベルワクチン

A型肝炎ワクチン Hepatitis A

A型肝炎は全世界で感染の可能性があり、特に開発途上国でそのリスクは高まります。日本においては、戦後生まれの大多数の方がA型肝炎ウイルスの抗体を持っていません。そのため、海外渡航者へのワクチンで最も多く接種するワクチンです。感染しても小児は軽症で済むことが多く、海外では1歳以上から摂取できる小児用製剤も存在しています。世界では液状型製剤(Havrix®、Avaxim®、Epaxal®、Vaqta®など)が主流となっており、接種は6カ月間隔で2回行います。ただし、日本では冷凍乾燥型製剤(エイムゲン®)しか承認されていないため、接種は2~4週間間隔で2回と24週経過後に1回行います。医療機関によっては「輸入ワクチンであれば1回接種で有効」と説明している場合もありますが、「1回でも短期間であればそれなりに粘液獲得ができる」という解釈であるため、ワクチンの免疫を長期的に望む場合には既定の通り、2回接種が必要であるという認識が必要です。当院においては、国産ワクチン(エイムゲン®)と輸入ワクチンのAvaxim®(Sanofi Pasteur社)を常備しています。

B型肝炎ワクチン Hepatitis B

B型肝炎は、血液・体液による感染や性行為が主な感染経路です。感染者は、欧米諸国では人口の0.1%程度ですが、アジア・アフリカ諸国では高い水準を保っています。そのため、開発途上国に長期滞在する場合には必須のワクチンといえます。日本においてはビームゲン®・ヘプタバックス®が主流で、4週間隔で2回、20~24週経過後に1回で接種を行います。

破傷風トキソイド Tetanus toxoid

破傷風菌は、全世界に分布しており土壌や汚泥に芽胞として存在しています。トキソイドの免疫がない場合、年齢問わず外傷が原因となって発症する可能性があります。そのため、渡航者のみならず免疫がない可能性がある高齢者も積極的に接種すべきワクチンです。小児期に定期接種で規定数済んでいる方は、通常であれば1回追加接種すれば最小発症防御抗体レベルを超えたと考えられます。しかし、日本においては1968年以前に生まれた方は、三種混合ワクチンの定期接種化施行前のため、免疫がない可能性があります。初回免疫獲得のため、3~8週間隔で2回、6カ月以降に1回を推奨しています。海外においては成人への追加接種に関しては、Tdap(破傷風・ジフテリア・百日咳)が使用され、北米への留学には必須のワクチンです。当院においてもTdapワクチン(Boostrix®, GlaxoSmithKline社)を常備しております。

狂犬病ワクチン Rabies

狂犬病は一部地域を除いた全世界、特にアジア・アフリカ地域で多く発生しており、年間の死者数が推計55,000人(アジア地域31,000人、アフリカ地域24,000人)となっています。ワクチンの接種方法は、2パターンあり咬傷前は曝露前接種、咬傷後には曝露後接種があります。発生件数が多い地域での長期滞在・医療機関への交通が不便な地域・渡航先で動物との接触がある可能性がある渡航者には、曝露前接種を推奨しています。世界的に用いられているワクチンはヒト2倍体細胞ワクチン(Human diploid cell vaccine; HDCV:Imovax®)や精製ペロ細胞ワクチン(Purified vero cellrabied vaccine; PVRV:Verorab®)などがあります。一方、日本においては、精製ニワトリ胚細胞から作られたワクチン(Purified chick embryo cell rabies vaccine; PCEC:ラビピュール®)が使われています。接種回数は基礎免疫獲得のために3回必要となります。曝露前接種スケジュールにおいては、0、7、21または28日です。曝露前接種が未接種の場合には、WHO推奨の咬傷後0、3、7、14、28日の5回(日本においては4~6回)が必要です。日本ではHRIG(Human rabies immunoglobulin)は未発売ですが、0日目に抗狂犬病免疫グロブリンの投与が必須です。曝露前接種が接種済みの場合にはHRIGは不要であり、追加接種は咬傷後の0、3日だけで済みます。そのため、可能であれば曝露前接種をお勧めします。当院では、渡航先で動物咬傷に遭遇した場合に曝露後発症予防接種もできます。当院では渡航先での受傷後、現地において治療が行われることを念頭にふまえて、世界での販売数が多いVerorab®(Sanofi Pasteur社)を常備・接種の推奨も行っております。

日本脳炎ワクチン Japanese encephalitis

主に中国・東南アジア・南アジア地域で発生し、郊外の農村地域で流行しています。発生地域以外にも日本も日本脳炎の発症地域に該当します。そのため、発生地域への渡航に関係なく小児期早期(生後6カ月~)からの定期接種を推奨しています。未接種の場合、接種は4週間隔で2回、およそ1年後に追加接種を行うことが一般的ですが、成人は小児期の接種歴や不顕性感染などで免疫の効果が保たれていることが多いため、追加接種だけで防御できるほどの中和抗体を得ることができます。

髄膜炎菌ワクチン Meningococcal meningitis

髄膜炎は、日本を含めて散発的に発生し集団感染も報告がありますが、サハラ砂漠以南の髄膜炎ベルトと呼ばれるアフリカ地域で流行が見られます。髄膜炎菌は13種類の血清型があり、侵襲性髄膜炎感染症はA・B・C・Y・W135の5つの血清型が原因で起こります。流行地域への渡航・イスラム教徒のメッカ巡礼・北米や英国での集団生活を送る場合には接種が必須な場合があります。ワクチンは2種類あり、多糖体(Meningococcal polysaccharide vaccine; MPSV)と結合型(Meningococcal conjugate vaccine; MCV)です。日本においては、A・B・C・Y・W135に対して4価結合型(MCV4、Men ACWY)としてメナクトラ®が2014年に承認、メンクアッドフィ®が2022年に承認されています。いずれも1回接種となります。B型ワクチンは対象年齢が10~25歳、1カ月間隔で2回接種が必要となります。当院で取り扱いのある輸入ワクチンは、Menveo®(GlaxoSmithKline社)・Nimenrix®(Pfizer社)ですが、B型ワクチン(Men B-4C; Bexsero®)(GlaxoSmithKline社)は取り寄せとなります。

黄熱ワクチン Yellow fever

黄熱ワクチン

黄熱は、南米・サハラ砂漠以南のアフリカ地域で流行しており、国際保健規制(International Health Regulation : IHR)によって入国時に黄熱ワクチン接種証明書(イエローカード)の提出が必要となり、流行国への渡航の際は接種が必須となり、2016年より接種証明書の有効期限が接種後10日から一生涯となりました。黄熱ワクチンは、弱毒性黄熱ウイルス(17D株)を含んだ凍結乾燥製剤です。このワクチンには鶏卵・ゼラチンが含まれているため、アレルギーがあり該当物質でアナフィラキシーの既往歴がある方と、生後9カ月未満の乳児においても脳炎を発症する可能性があるため、接種は禁忌となっています。副反応には注射部位の痛みなどの局所反応の他にも重篤なものがあります。重篤なものには脳炎(20万件に1件程度)や多臓器不全(40万件に1件程度)などが高齢者を中心に起こる可能性があるため、65歳以上の方は注意する必要があります。以上のことから、接種禁忌者・要注意者に対しては接種禁忌証明書の発行があります。日本国内では厚生労働省検疫所・一部の指定医療機関においてのみ接種が可能なため、当院では接種できません。

腸チフスワクチン Typhoid

腸チフスは開発途上国を中心にインド、南アジアが流行地とされています。日本では未承認のワクチンですが、流行地に短期間でも滞在する場合は、接種が推奨されるワクチンとなります。ワクチンには不活化ワクチン(Vi多糖体)と経口生ワクチン(弱毒株Ty21a)があり、国内のトラベルクリニックにおいては、不活化ワクチンが多用されていると考えられます。当院ではTyphim Vi®(Sanofi Pasteur社)を常備しており、1回接種ですが3~4年ごとに追加接種が必須となります。

ダニ媒介性脳炎ワクチン Tick-borne encephalitis

腸チフスは開発途上国を中心にインド、南アジアが流行地とされています。日本では未承認のワクチンですが、流行地に短期間でも滞在する場合は、接種が推奨されるワクチンとなります。ワクチンには不活化ワクチン(Vi多糖体)と経口生ワクチン(弱毒株Ty21a)があり、国内のトラベルクリニックにおいては、不活化ワクチンが多用されていると考えられます。当院ではTyphim Vi®(Sanofi Pasteur社)を常備しており、1回接種ですが3~4年ごとに追加接種が必須となります。

麻しんワクチン Measles

日本においては麻疹排除国としてWHOから認定を受けていますが、2016年に海外からの帰国者から散発的に流行が見られ、海外赴任者が現地で感染して脳炎を発症したケースがありました。日本では定期接種スケジュールに組み込まれていることから、国内での患者数は減少していますが、若年層では十分な免疫が獲得できていない場合もあります。日本は麻疹排除国であるため、海外からウイルスを持ち込まない・海外で発症しないためにも最低でも2回はワクチンの接種が必要です。小児期の定期接種のみならず、麻疹・風疹はトラベラーズワクチンとして認識する必要があります。また、定期接種の実施がまだの方、接種歴が曖昧な場合は抗体検査を積極的に実施することをお勧めします。当院で接種できるワクチンは国産のMR(麻疹・風疹)の他に、北米などへの留学のためにMMR(麻疹・風疹・おたふくかぜ)ワクチンを常備しています。

トラベルワクチンの費用

費用(税込)
A型肝炎ワクチン 7,700円
B型肝炎ワクチン 6,600円
破傷風トキソイド 3,850円
狂犬病ワクチン 16,500円
日本脳炎ワクチン 7,700円
髄膜炎菌ワクチン 22,000円
黄熱ワクチン 11,000円
腸チフスワクチン 9,900円
ダニ媒介性脳炎ワクチン 12,100円
麻しん・風疹ワクチン(混合) 13,200円

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